shousetu saikai
小 説 「 S A I K A I 」

第16話 いい事尽くめ・・・・?

俺は、ベンツを横目に玄関前に立った。
特に看板らしきもの?もなかった。
車だけで、人は判断できない。と心に言い聞かせ、
チャイムのボタンを押した。
中から、「はーい」という声がした。
どうやら、奥様らしい。

中に、上げてもらうと、そこは一般住宅だった。
ピアノがありごくごく普通の家だった。
茶の間に通され、社長のくるのをじっと待った。

すると、小柄で、オールバックのさっぱりとした社長が入ってきた。
どうやら、私の思い過ごしだったようだ。
気さくな、社長だった。
寿司の板前という感じでく、ベンチャー企業の社長風?だった。
君さえ良ければ、すぐ採用との事。

面接をすませ、社員寮があるとのことで、自宅の裏に案内された。
築25年ぐらいの、平屋の小さな家だった。

8帖の和室がふたつ、4帖の台所、トイレ付き、お風呂だけがない部屋だった。
なんと、そこに一人で暮らしてよいという好条件だった。
古い住宅だが、一人暮らしができる♪

しかも、一戸建て。何もかも新鮮だった。
食事つきで給料は12万円。
しかも、家賃はない。
すばらしい好条件だ。

あまりの好条件に、ちょっとためらってしまった。

あとは、勤務先のお店に伺って、よければすぐ決めようと思った。

明日の夜、ススキノにある店「寿司の出島」にいくことになる。

「ススキノ・ベンツ・寿司屋」 このとりあわせはちょっと不安?

「一戸建て、一人暮らし・食事付き給料12万・気さくな社長」 好条件!



翌日、夜20:00地下鉄ススキノ駅をでて、「寿司の出島」に向かった

南6条西3丁目の新宿通りにはいると、
その通りにはたくさんの、客引きのお兄さん方がいた。

客引きのお兄さんの誘いを無視しながら、「出島」にむかった。

「あった!」

ネオン街のビルとビルとの間に2階建ての建物がある。
焼き鳥屋とピンクサロンの真ん中に、
3尺程のせまいスペースにノレンがかかっていた。

おむかえは、ピンクサロン、隣の地下もピンクサロン、斜め向かえはクラブ。

どうやら、「寿司の出島」は焼き鳥屋の2階らしい。
外からはどんな店かまったく様子がつかめない。
脳裏にベンツが横切る。

俺は、思い切って、ノレンをくぐり、3尺の狭い階段を上った。


                                つづく・・・・・・・・・・



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