小 説 「 S A I K A I 」 |
第25話
今日は、大変忙しい。
舎利を炊いたり、茶碗蒸をつくったり、
なべをつくったりてんてこ舞いだ。
宴会が3組も入っているからだ
普段は、おかみさんはめったに店に顔を出さないが、
今日は手伝いに来るらしい。
入社してから、おかみさんが店にくるのは、
弁当を届けるときだけだった。
「おはよう ございます〜!」
と、若い女性の声がした。
アルバイトの人かな?
と思ってふりむいたら、ビックリ。
着物姿に割烹着の若い女性だ。
一見、クラブのホステスさんか、
クラブのママさん風の女性だった。
「シュート君頑張ってる????」
って、声をかけられた。
「えっ・・・・・・・・・・・・? 誰だっけ?・・・・・・」
な なんとおかみさんではないか!
ほんとうにびっくりだった。
昼間に見たときは、めがねにエプロン、黄色い長靴姿、当然すっぴん。
どこからみても、そこらの主婦だったおかみさんが、
なんと変身しているではないか。
となりにいるのは、どっからみても、高級割烹のおかみさんか、
クラブのママさんだ。
化粧もばっちり。
ほのかなよい香りもしている。
めがねも当然かけていない。
コンタクトのようだ。
さすが、ススキノのすし屋のママさんだ。
いやーー本当にびっくりした。
女性は、こんなにも変わるものだと始めて知った。
なんか恥ずかしくて、まともに顔がみられない。
本当は、おかみさんはこんなにも、美人だったんだ!
女性の素晴らしさと恐ろしさを知った20歳の俺だった。